
世界の构造を解き明かしたくて
宇宙とプログラムに兴味を持つ
2022.05.12 THU
京都大学理学部で宇宙や量子力学を研究したのちに、3年間の引きこもりを経てメタバース企業を設立した加藤直人さん。物理学者とエンジニアという二つの才能に揺れながらも、切り拓いたのは仮想世界の最先端。「引きこもりを加速する」というキャッチコピーのもとめざす世界とは? 世界を変える起業家の頭の中に迫ります。
1988年生まれ。大阪市出身。大阪府立天王寺高等学校理数科を経て京都大学理学部に進学。宇宙論と量子コンピュータの研究に取り組み2011年3月卒業。京都大学大学院を中退後、約3年間のひきこもり生活を過ごす。2015年にクラスター株式会社を起業。2017年に大規模バーチャルイベントを開催することのできるVRプラットフォーム「cluster」を公開。経済誌『Forbes JAPAN』の「世界を変える30歳未満30人の日本人」に選出されている。著書に『メタバース さよならアトムの時代』(集英社/2022年)。
亲からパソコンを譲り受け
ゲームを自作した少年时代
実家は大阪の下町で、共働きの両亲のもと姉と妹に挟まれて育ちました。幼少期から引きこもりがちな子どもでしたね。「外で游んできなさい」と言われるのが嫌で、図书馆に逃げ込んで本を読んで过ごしていました。また小学4年生顷の趣味が、スーパーボールを壁にぶつけて跳ね返ってくる轨道を予测するというもので、それを延々と3?4时间と続けていましたので、亲には「大丈夫かなこの子」と心配をかけていたのではないかと思います。
パソコンに初めて触れたのは小学6年生の时でした。亲から譲り受けまして、最初は既存のゲームで游んでいたのですが、中学2年生ぐらいでプログラミングに目覚めました。当时放映されていた『机动戦士ガンダム厂贰贰顿』というアニメの影响です。主人公はコーヒーを饮みながら片手で翱厂を书き换えるようなチートキャラクター。その姿に憧れ、自分でもプログラミングの本を买って独学でゲームをつくるようになりました。仲の良かったガンダム仲间と一绪に自作の株価シミュレーションゲームで游び、1千万円の架空予算をどれだけ増やせるかを竞ったのがいい思い出です。
物理の素养を深めた高校时代
バイトで组织の面白さを知る
高校は実家から近いところにあった公立のトップ校に进みました。数学と物理が大好きなので理数科に入ったのですが、1年のうちに高校课程の物理を独学で学び终えてしまい、物理の先生に「僕の授业中は别の勉强にあてていいから」とお墨付きをいただいたことで自由に过ごすようになりました。相対性理论や量子力学などを解説した一般书や、厂贵小説や文学作品など、たくさんの本を読みました。当时は「インターネットはお金がかかる」という理由で亲にパソコンを取り上げられていたので、アナログなことに时间を使うしかなかったんです。
亲に「お金を稼ぐ経験をしておけ」と勧められ、近所の回転寿司のチェーン店でアルバイトも経験しました。そのときに感动したのが、彻底的にマニュアル化された店舗运営のシステムです。店の里侧は工场のような空间になっており、店长からバイトまで担当者ごとに详细なマニュアルが作成されており、それに沿って黙々と働けばチェーン店の品质が保たれる构造や组织がつくられていることに凄みを感じました。バイト自体は全く性に合わず2カ月で辞めてしまいました。でも、世の中の构造を知ることに兴味があった僕にとって、のちの起业につながる体験ともなりました。
宇宙の原理を知ろうと
物理学者をめざし京都大学へ
高校时代に将来の目标として描いていたのが物理学者になることです。ガンダムの影响で宇宙が大好きだったので、ピュアなサイエンスの世界で宇宙の原理に迫ろうと考えていました。それでノーベル物理学赏受赏者を辈出していて、理论物理のトップ大学だという印象があった京都大学に行くことにしました。
よく东大や海外大学は视野に入れなかったのかという质问を受けるのですが、当时は経済的な理由で选択肢に挙げていませんでした。大阪の下町らしい“おもろい”両亲のもとで、「塾に行くならおかずが1品减るで」「学校は家から通える国公立が一番や」などと言われて育ちましたので、素直に塾にも远方の大学にも行かない选択をしたのですね。今思うと奨学金制度などを利用すれば海外大学に行けたかもしれないのでそこは反省点なのですが、京都大学を选んだこと自体は今も后悔していません。
300人が所属するサークルで
组织运営の仕组みを学ぶ
京都大学に入学したときに决めていたのが、なるべく大きなサークルに入って组织の仕组みを知ろうということです。そこで入ったのが京都大学生协协同组合の运営组织である学生委员会です。1?3年生までの约300人が所属する団体で、4つの委员会を下部组织として持ち、イベントの企画运営や册子の発行、受験生や合格者のフォローまでさまざまな活动に関わる组织でした。また僕にとって嬉しかったのは、部室のパソコンが自由に使えたことです。高校时代の反动もあり、大学1年生の顷は授业もそこそこに、プログラミングに热中して部室に入り浸りとなりました。
そんなふうに部屋の主のような状态でいたのが影响したのか、2年生になるとサークルのトップに推荐されてしまいました。断わりたかったので主要メンバーに现在の取得単位数を资料として配って「この成绩なので引き受けられません」と伝えたところ、なぜか加藤救済チームが结成され、试験前に対策をインストールしてくれることになりました。それで仕方なく代表を引き受けたのですが、それが结果として今の会社経営につながる気づきを得ることになりました。何しろ歴史ある组织ですので、コミュニティとアーキテクチャーができあがっています。トップが変わっても回り続ける仕组みに感心し、それを维持することが组织のカルチャーをつくり、属する人が働く喜びにつながり、世代交代や新陈代谢が円滑に行われるのだということを学んだのです。この気づきは现在もクラスター社の経営に生かされています。
加藤 直人さんが学んだ京都大学では、創立125周年を機に国際競争力強化、研究力強化、社会連携推進の3事業を展開するための寄付を募っています。ぜひともご支援を賜りますようお願い申し上げます。







