
小説でも、研究でも、
「繋がり」の中に何かを见出したい。
多様な価値観の中で育む想像力。
総合人間学部 4年生 青羽 悠
2016年、初めて执笔した『星に愿いを、そして手を。』(集英社)が第29回小説すばる新人赏を歴代最年少受赏し、16歳で小説家としてデビュー。京都大学総合人间学部に进学し、勉学に励みながら、文芸誌で作品を発表している。最新刊は『凪に溺れる』(笔贬笔研究所)。
想像力を掻き立てる何かを求めて京都大学へ。
小説を书き始めたのは高校に上がる前の春休み、15歳の顷でした。「このままだらだら大人になれば、何者にもなれないんじゃないか」そんな焦りがあったのだと思います。本を読むことはもちろん、音楽も漫画も好きだったのですが、笔颁が1台あればすぐに书き始められるという理由で选んだのが小説でした。ちょうど1年先の小説すばる新人赏を目标に书き始め、结果的にそれがデビュー作になりました。
早々に小説家という生き方を手にしたものの、学问への憧れや、新しい环境で自分の世界を広げたいという思いがあり大学进学を决めました。京都大学を选んだのは、最先端の学问を学べるだけでなく、独特の异様な空気が漂っていて、想像力をかき立ててくれるものがありそうだと思ったからです。入学してみて、その印象は确信に変わりました。
京都大学出身の小説家といえば森见登美彦さんや万城目学さんが有名ですが、あの突飞な世界観は头の中だけで考えたものじゃないんだなと后々気がつきました。京都大学には本当にいろいろな価値観を持った人が共存していて、そこで过ごしていると自分が囚われていた常识の枠が取り払われていく感覚があります。まさに、小説の中のような突飞な出来事も当たり前に起こりそうな场所なんです。
惊いたのは、ベンチで当たり前に寝ている人がたくさんいる光景ですね。「そんなところで寝ていいんだ!」と。私も影响を受けて、天気のいい日は昼寝しないと失礼だなと思ってしまうようになりました。常识が変わったという点では、京大変人讲座も印象的です。世の中にはまだ知られていない価値や魅力がたくさんあるということを教えてくれました。
お気に入りの昼寝スポットは、大学构内の木漏れ日が差しこむベンチ。
快适な执笔环境にはコーヒーも欠かせない。
学问と小説がつながり、自分の外に世界が広がる。
1年生の顷から宇宙飞行士でもある土井隆雄先生のもとで勉强させていただいたり、京都市立芸术大学のゼミに参加させていただいたりと兴味の幅を広げました。现在は総合人间学部で地球科学を専攻しながら、复雑系科学を専门とされている総合生存学馆の池田裕一先生に师事して、さまざまな対象を「复雑ネットワーク」という视点で捉えようとしています。
复雑ネットワークとの出会いは、私にとってとても兴味深いものでした。生态系、电力网、政治、人间関係、言语など、物事のつながりでさえあればどんな対象でも扱えてしまうんです。あらゆる事象をキャッチする力があり、分野を问わず包括的に何かを语れることに惹かれました。実は小説もこれに似ていて、人间関係の繋がりで物事が展开し、文章単体ではなく物语の构造全体によって作者の思いを伝えることができます。结局、小説でも学问でも「繋がり」を考えることが私に合っているんでしょうね。卒业后は大学院の総合生存学馆に进学して复雑ネットワークの研究を続けながら执笔に取り组む予定です。
大学に通う中で小説のテーマにも変化がありました。これまで自分自身の内面の変化や成长を见つめてテーマにしていたのですが、だんだんと自分の周囲の世界、つまり京都大学で出会った人や出来事へと兴味が広がってきたんです。最近は卒论を通して、小説と学问の相性の良さを実感しています。研究も小説も「あちこちに散らばっているものを整理して、何か新しいことを见つけて伝える」という行為としてはすごく近いんです。小説の中に学问の面白さを持ち込むことができれば……作家としても、やれることはどんどん広がっているなと感じます。
これまでは轴を定めずに好きなことに取り组んできましたが、今は究めたい学问があり、もっと面白い小説を书きたいという思いも强くなっています。どこにたどり着けるのか、少しだけ不安もありますが、それ以上にワクワクしている毎日です。最后はすべてが繋がって面白いところに辿り着けそうな予感がしています。
価値観のるつぼから大切なモノを选び取り、自分を组み立ててゆくタフさ。





