
地球と生命の秘密に迫る海洋化学。
京都大学の环境が、地道な研究と
日本での生活を支えてくれた。
化学研究所 助教 鄭 臨潔
中国?延辺大学で化学を学び、2012年に京都大学大学院理学研究科に研究生として入学。同修士课程、博士后期课程、化学研究所研究员を経て2018年より化学研究所助教。専门は海洋化学。研究功绩が认められ、2018年度公益财団法人海洋化学研究所奨励赏、2020年度京大化研奨励赏を受赏。
海水に含まれる微量金属から、地球环境と人の営みの関係を探る。
私は「なぜ地球上に生命が诞生したのか」という根源的な疑问に兴味をもち、生命化学を学ぶために京都大学の理学研究科に进学したのですが、そこで出会ったのが海洋化学という学问でした。
海洋化学は、海に存在するあらゆる物质や生物活动を対象にした化学の分野です。世界的な环境问题となっている铅による海洋汚染をはじめとして、人间の活动によって陆地から海へ流入した物质は、海中の生物や地球全体の环境にさまざまな形で作用することが知られています。私は太平洋の海水に含まれるそうした微量金属9元素を计测することで、その分布や相互作用を明らかにしようとしています。
海中の微量金属や生物は复雑に影响しあいながら地球上を循环しているので、地球环境の全体像を把握するには世界各地の海で基础研究を积み上げてゆくことが不可欠です。成果がすぐに见えるわけではない地道な学问ですが、人の営みが海洋に与える影响は徐々にわかってきており、近年では人类诞生以前の古海洋の组成も解明されつつあります。人类と海洋の関係、そして生命の起源にどこまで迫れるのか、私も自分の研究を続けることで贡献したいと思っています。
调査のために航海に繰り出す。昔は海が苦手で、それを克服したいという思いも海洋化学の道を选んだ理由のひとつ。
海水の组成を分析する実験の様子。标準的な分析方法が确立されていない中、より高精度で効率的な方法を探求している。
周囲に支えられ、刺激を受けながら基础研究を地道に究める。
日本に来る前、私は中国の延辺大学で化学を学んでいました。京都大学に进学することを决意した一番の理由は化学研究のレベルの高さですが、アニメを通して日本の文化や风土に亲しんでいたことも大きなきっかけでした。昔ながらの町并みが残る京都は、私にとって最高の环境です。
今でこそ日本での研究や生活を楽しんでいますが、2012年に研究生として京都大学に入学した当初は、日本の社会にうまく驯染めるか、优秀な人たちの中で遅れを取らないかと不安でいっぱいでした。そんなとき、当时の先生方が生活用品の买い出しに付き合ってくださり、研究だけでなく生活面までサポートしてくださったことが心に残っています。先生が一人の学生を细やかに気遣ってくださる関係に本当に感动しました。今は私も助教という立场なので、なるべく学生に寄り添うように接することを心がけています。
研究をするうえでは、周囲の人々の优秀さが良い意味でプレッシャーになっています。延辺大学では理论を中心に学んできたので、京都大学に来たときは先辈方の実験能力の高さに惊きました。当时、先生からは「基础研究にはすぐに结果が出なくても地道に続ける根性が必要」と激励されたものです。その言叶通り地道に努力してきたので、化研奨励赏という赏もいただきました。自信に溢れた周りの研究者を见习って、私ももっと自分の研究に胸を张りたいですね。
研究だけでなく日々の生活も充実させたいと思っています。そろそろ亲孝行もしなければならないので、日本での研究にとどまらず、いつかは故郷の中国に戻って基础研究の重要性を広めていくことも考えています。そして世界中の研究者と协力しながら海洋の秘密を解き明かしていきたいです。
プレッシャーをバネに、ハイレベルな环境に喰らいついて地道に成长する努力と根性





